森山直人 (舞台芸術学科教授、演劇批評)

 私がこの大学に着任したのは、いまから15年前――まさしく京都芸術劇場のオープン、舞台芸術研究センターの立ち上げの年でした。最初の半年は、研究センターの立ち上げに専念し、アシスタントスタッフのバイト募集から始めたことを、いまでもはっきり覚えています。幸いなことに、研究センターは、文科省、文化庁の助成金を切れ目なく獲得することができ、機関誌『舞台芸術』の発行をはじめ、さまざまな公演(最初の頃は「上演実験」と呼んでいましたが)を製作することができました。助成金関連事業のほとんどに関わってきた私は――あまりに多すぎてとても書き切れませんが――ひとりの現代演劇の批評家というだけは絶対にできなかった経験を、数多くさせていただきました。太田省吾先生、渡邊守章先生、天野文雄先生と受け継がれてきた研究センターが、この劇場で行ってきた数々の公演やワークショップ、レクチャー等は、「大学の劇場」というここの特色を、いかに創造と研究に結びつけ、その成果を社会に広く問うていけるかという熱意の産物にほかなりませんでした。今後も、その精神は変わることなく継承されていくことでしょう。