P.P.Pasolini’s Calderon『カルデロン』関連企画(2) 映像上映会
これまで上演してきた
パゾリーニ企画を振返る!!

日時 2013年4月13日(土)12:00スタート
会場 京都芸術劇場 studio21
料金 無料 (要事前申込み)

申し込み予約フォーム

作:ピエル・パオロ・パゾリーニ 構成・演出:川村毅

I 12:00~ 『オルジァ』 リーディング (世田谷パブリックシアター主催 ドラマ・リーディング19)

1時間38分 (2003年2月 シアタートラム)
※定点カメラで撮影した映像です。

出演:手塚とおる、西牟田恵

「オルジァ」は「古代ギリシャのバッカス祭の大饗宴のことで、長い間無理に押さえられていた欲望があふれ出る」こと。復活祭の時期、ポー川地方に住むプチブルの夫婦に生じた貧しいサドマゾの感情。家を出て自殺する、妻・愛人・奴隷の“女”。若い売春婦に打撃を与える“男”のフェティシズムとトランスセクシャルな錯乱状態。二人が再び日常に戻ろうとしたときに残されていたのは殺す・殺される・自殺という可能性だけ…6つのエピソードによって描かれる本作品は、個人、夫婦、社会でうごめく暴力的でひっそりとした欲望をめぐるパゾリーニの旅への第一歩であった。

撮影:石川純 提供:世田谷パブリックシアター

II 14:00~ 『豚小屋』

1時間41分 (2011年4月 京都芸術劇場 春秋座舞台上)
出演:手塚とおる、河合杏南、笠木誠、福士惠二、大沼百合子、伊澤勉、柊アリス、中村崇、伊藤キム

1969年に公開され、パゾリーニ監督映画作品としても多くの映画ファンに知られる『豚小屋』。
主人公はブルジョア階級の家の息子・ユリアン。順応の道も革命の道も放棄したこの青年にとって、不都合な事情を隠蔽し生き抜く父親や大人たちに対する第三の道はひきこもりしかなかった。その道は豚小屋へたどり着き、豚との性交に快楽を見出すのだが…。この豚小屋は、パゾリーニが理想の像とした農民社会の象徴であり、ラストの顚末は、必ずしも変態性欲への天罰を意味してない。豚に食べられることによって、ユリアンは農民の共同体との合一を可能にしたのだ。
photo: 清水俊洋

III 16:00~ 『騙り。』

1時間39分 (2012年4月 京都芸術劇場 春秋座舞台上)
出演:手塚とおる、谷部央年(俳優座)、河合杏南、大沼百合子、笠木誠、中村崇、柊アリス、
真那胡敬二、蘭 妖子

パゾリーニ監督映画作品『アポロンの地獄』(原題:オイディプス王)と同時期の1969年に発表された戯曲『Affabulazione』。『豚小屋』では、主人公・ユリアン青年の傍らの父親は、ほぼ悪役的存在だったが、『騙り。』では主人公となり自己の内面を吐露する。息子と父親という関係性において、『豚小屋』での息子の主観から、『騙り。』では父親の目線に反転している。また、ギリシャ悲劇『オイディプス』での息子の父親殺しが反転し、ここでは父親の息子殺しとして描かれるうえに父親はそれを「王殺し」と言う…。それは一体どういうことなのか、“ソフォクレスの影”が語る言葉にヒントは隠される。
photo: 清水俊洋

IV 18:00~ 『文体の獣』

1時間33分 (2012年10月 テアトルBONBON)
出演:結城一糸(江戸糸あやつり人形座)千葉哲也、中村崇、葉山レイコ 他

パゾリーニが亡くなる一年前に書かれた戯曲。自身はこの戯曲を「自伝のパロディ」と言った。ファシストでアル中だった父親を母親に置き換え、内ゲバで殺された実弟のグイド像は主人公・ヤンの友人カレルに託される。歴史ある江戸糸あやつり人形座による象徴的な天使が物語の始まりと終わりに出現し、人形のヤンは語り部のように淡々と思想と人生を語る。「革命」「ヒューマニズム」「1938年」など擬人化され、それぞれの主張をヤンに語りかける…パゾリーニ自身の中にある、ファシズムと社会主義、共産主義の思考と妄想をヤンの中で様々にシェイクし発語させ、結果それは“資本主義への疑い”を描いた。
photo: 宮内勝