2010年團 伊玖磨作曲/木下順二原作 歌劇「夕鶴」、 2011年 G. プッチーニ作曲 歌劇「ラ・ボエーム」、 2012年 尾上和彦 作曲 オペラ「月の影」-源氏物語- と回を重ねてきた春秋座オペラ。 今年は、いよいよ、 G. プッチーニの名曲『蝶々夫人』を上演いたします。 公演に先立ち、6月上旬に楽屋にて行われた記者発表会の様子を少しだけ、 お届けいたます。
進行:舞台芸術研究センター プロデューサー橘市郎
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松山
それでは、今回のキャストをご紹介します。 キャスティングに際し、関東と関西の2か所でオーデションを行いました。 まずは、蝶々夫人役、6日にご出演の川越塔子さん、7日にご出演の江口二美さん、 ピンカートン役、6日にご出演の大澤一彰さん、7日にご出演の笛田博昭さん、 シャープレス役、7日にご出演の片桐直樹さん、スズキ役にご出演の松浦麗さんです。
川越
橘さんが先ほどおっしゃってくださいましたが、 春秋座のオペラに出させていただくのは3作品目になります。 最初は團伊玖磨の『夕鶴』、次はプッチーニの『ラ・ボエーム』。 『ラ・ボエーム』の稽古をしている時に橘さんが、 「いや~、いつか、蝶々さんをここでやって、 花道から蝶々さんが登場するところが観たいんだ」 ということをずっとおっしゃっていたのですが それが、こんなにも早く実現して、 私が蝶々さんをやらせてもえるのは光栄です。
私、蝶々さんをやるのは初めてなのですが、 初めての蝶々さんが春秋座ということに すごくご縁を感じて嬉しく思っています。 イタリアオペラに限らず、オペラ歌手をやっていますと、 私は東洋人なのにイタリア語やフランス語で その国の人を演じるということに、 これは別に私がやらなくてもいいのではないか、 あえて私がやるべきことではないのではないのか、 というジレンマに陥ることがあるのですが、 蝶々さんという役は、私が、日本人のソプラノがやるということに 一つの意味があるなと納得できる数少ない役でもあるので、 いつかはやってみたいと長い間思っていました。 今回は、橘さんが夢見た、 蝶々さんが春秋座の花道から登場するシーンも含め がんばりたいと思います。
江口
私は、大阪で生まれまして、途中で滋賀県の大津市に引っ越し 実家はまだ大津にあります。 今は東京で暮らしています。 コンサートなどで関西に歌いに来ることはあったのですが、 オペラ一本を舞台で立つのは、今回が初めてです。 とっても感謝しています。
『蝶々夫人』をやるのは2度目ですが、 前回は大分前のことでして、 本来、歌いきることはできないぐらい若い時にやりました。 どんな時も完璧はないし、『蝶々夫人』も来年もやったら、 来年の方が今年より上手くできるようにしたい、 と思うのが常ですが、 10年ぐらい前の自分と絶対、違うように歌いたいし、 演じたいと強く思っておりまして、 自分にも課しているものがあり、実はすごく意気込んでいます。 意気込みすぎて空回りしないようにがんばりたいと思います。
大澤
京都にすばらしい劇場があると東京でも噂は聞いていたのですが、 その春秋座で歌わせていただけることを とても光栄に思っています。
ピンカートンという役は、 世界的な蝶々夫人歌いだった林康子先生と ご一緒させていただく機会にめぐまれ、 その時にいろいろと教えていただいた、 とても思い入れのある役です。 多分、オペラの中で一番好きだなと思っている作品です。 今回、素晴らしい演出家、マエストロと一緒に 実力のある歌い手、共演者と京都の皆様にいい歌、 いい演技を見ていただけたらいいなと思っています。
笛田
僕も京都は、コンサートでは何度か 歌わせていただいたことはあるのですが、 オペラをさせてもらえるのは初めてで、 とても楽しみにしています。 ピンカートンはアメリカ人の若い、やんちゃな軍人の役で、 エネルギーにあふれ、若さゆえになんでもやってしまうような人で、 そういうところを全面に出せたらいいなと思います。
きっと港々に女の子がいると思うのですね。 そういうオイタをした一人が蝶々さんだと思うのですが、 それが3年後に会った時に後悔している・・・、 本当に後悔しているのか、その辺はちょっと分からないのですが、 本当に後悔していてほしいんですよね。 僕の中では後悔しているピンカートンなのですが、 それは色々な捉えかたがあると思うので。 3年後に来て、なんてことを僕はしたのだ! という後悔の念を歌うわけです。 だからピンカートンが、 すごくひどい奴に見えたらいいなと思います。 そうすると蝶々さんがとってもかわいそうに見えて、 みなさんの涙を誘うと思うので、 ひどいピンカートンをがんばります!
片桐
こんにちは。 私は京都に住んでおりまして、 普段は関西二期会でオペラをやらせていただいています。 ところが京都でオペラをすることがなかなかなくて、 普段は大阪やびわ湖ホール、神戸方面でやっています。 今回のように春秋座さんでやらせていただけることは 幸せな気分で一杯です。
シャープレスという役は、いく度かさせていただいているのですが、 普段のイタリアオペラやドイツオペラをしている時は、 私は日本人なのですが外国人の役になりきってやっています。 『バタフライ』に関しては、普段、舞台で何気なくやっている 西洋人の仕草が際立ってくるといいますか、 この舞台では、ほとんどが日本人役で ピンカートンとシャープレスとケイトの3人だけがアメリカ人。 ですから、日本人離れをした演技をしなくてはいけないという プレッシャーをより感じます。 ピンカートンの自由奔放な本能と 感情にまかせて生きているのに対して、 シャープレスはまじめで仕事人間。 与えられた使命や役割を全うするために生きている。 そういう風に努めたいと思います。 それで主人公の情念をより浮かび上がらせられたら幸いです。
松浦
私は大阪の大学を卒業して東京にいます。 京都の思い出も大学4年間の思い出でいうと、 実はロックをやっていまして大学時代、河原町の近くにある、 ライブハウスで2年間ほど月一でライブをやっておりましたので、 そういう思い入れがあるのですが、 オペラで出演させていただくのは初めてなので 光栄に思っています。
スズキはとにかく蝶々夫人にお仕えして、 ずっと支えていきたいなと思っております。 音楽稽古と何回か立ち稽古をさせていただいたのですが、 何度も心をえぐられるような、何度も涙をすでに流しております。 皆さまも素晴らしい蝶々夫人の歌を聞いて 感動していただけたらなと思っております。
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