公演詳細

共同利用・共同研究

2016年度 共同研究プロジェクト
「老いを巡るダンスドラマトゥルギー」公開研究会

第1回 オーラルヒストリーから辿るイヴォンヌ・レイナー

ポストモダンダンスの歴史を作り、
コンテンポラリーダンス界においても大きな影響力を持つ
ニューヨーク・ジャドソン教会派を代表する振付家・ダンサー、
イヴォンヌ・レイナー。
2016年度から17年度にかけて開催する研究プロジェクト
「老いを巡るダンスドラマトゥルギー」では、
第1回の公開研究会として、
2006年以来ダンスにおける「老い」を実験的なテーマとして
ダンス作品を創り続けるレイナーについての
ドキュメンタリー映画上映とディスカッションを開催します。
レイナーを中心に1960年代以降のニューヨークのダンスシーンを
オーラルヒストリーとして記録した映画とそれについてのディスカッションを行うことで、
登場するダンサーとダンスでの「老い」について考えると共に、
2017年度の研究会に向けて、
レイナー作品の再構築への足がかりとなることを目指します。

都合により会場が京都造形芸術大学内の映像ホールから、
芸術文化情報センター(図書室)に変更となりました。
急な変更によりご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。
公演情報
2017年3月4日(土)
13:30〜17:00(途中休憩あり)
会場:京都造形芸術大学 芸術文化情報センター(図書室)
≪研究会プログラム≫

1. 『フィーリングス・アー・ファクツ〜イヴォンヌ・レイナーの生涯〜』
『Feelings Are Facts: The Life of Yvonne Rainer』上映
2015年 86分 日本語字幕付
監督:ジャック・ウォルシュ
出演:イヴォンヌ・レイナー、スティーヴ・パクストン、
シモーネ・フォルティ、ルシンダ・チャイルズ、キャロリー・シュニーマンほか

1962年、ジャドソン・ダンス・シターの創設メンバーとなったイヴォンヌ・レイナーは、歩く、走るなどの日常動作をダンスの動きとして取り上げることで、モダンダンスに変革をもたらしました。70年代に一旦はダンスの世界を去ったレイナーは、映像作家としても活躍。『Feelings Are Facts』では、当時80歳で振付家としての活動を再開していたレイナーが、アートやパフォーマンスについての根本的な問いを投げかける作品を創作し創り続ける姿を追います。日本初公開。
http://www.feelingsarefacts.com/

2. 公開ディスカッション
登壇者:岡﨑乾二郎(造形作家・批評家)
◇◇◇古後奈緒子(ダンス批評・舞踊史研究/大阪大学文学研究科アート・メディア論)
◇◇◇中島那奈子(ダンス研究・ダンスドラマトゥルク)

アメリカモダンダンスの開拓者、ルース・セント・デニスは来日時に見た京舞に影響を受け、高齢になってもダンサーとして踊り続けていました。その高齢のセントデニスを想起しながら、レイナーは現在も創作活動を続けています。本ディスカッションではポストモダンダンスの背景と京都の今を重ね合わせながら、「老い」のクリエイティブなドラマトゥルギーを模索します。
前半は、岡﨑乾二郎氏に造形作家及び理論家の視点から、古後奈緒子氏には舞踊研究・批評の視点から、それぞれのレイナーの創作活動との関わりについてお話を伺い、後半は映画が伝える当時のジャドソン・ダンスシアターやニューヨークアートシーンを、今の私たちの視点で捉え直しながら議論を進め、今後のレイナー作品再構築への指標にしていきます。
チケット情報
入場無料(当日参加可能)
≪申込≫
申込先:agingbodyindance@gmail.com
(ご来場のお名前、人数、電話番号をご明記ください)

≪予告≫
「老いを巡るダンスドラマトゥルギー」2017年度
イヴォンヌ・レイナー 初期作品の再構築による上演と、レイナー本人による公開レクチャー予定! 詳細は本ウェブサイトにて発表します。

≪主催≫
共同利用・共同研究拠点 京都造形芸術大学<舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点>
2016年度 共同研究プロジェクト「老いを巡るダンスドラマトゥルギー」研究代表者 中島那奈子

「Feelings Are Facts: The Life of Yvonne Rainer」字幕制作: アテネ・フランセ文化センター
協力: 碓井千鶴
制作:川崎陽子
出演者プロフィール
≪公開ディスカッション 登壇者≫

岡﨑乾二郎
1955年東京生まれ。造形作家、批評家。1982年パリ・ビエンナーレ招聘ー)、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開。武蔵野美術大学客員教授。四谷アート・ステュディウム(〜2014年)のディレクターとしてジャドソン・ダンスシアター関連の催しも開催。著書に『ルネサンス 経験の条件』(文藝春秋)、『れろれろくん』(ぱくきょんみとの共著、小学館)、『トリシャ・ブラウン―思考というモーション』(編著、ときの忘れもの)、『芸術の設計』(編著、フィルムアート社)などがある。
http://kenjirookazaki.com/

 

古後奈緒子
舞踊史・舞踊理論研究、舞台芸術の批評、翻訳、記録。大阪大学文学研究科文化動態論専攻 アート・メディア論コース 助教。神戸女学院大学、京都産業大学非常勤講師。論文「二つの『七つの大罪』—バランシンとバウシュが二人のアンナに見たもの—」(『演劇学論叢』第14号掲載)、「ホーフマンスタールの舞踊創作における異質性/他者性の作用」(『近現代演劇研究』第6号掲載)。ダンスウェブマガジンdance+を運営。京都国際ダンスワークショップフェスティバルでdocument/a©tionを主宰。大阪大学総合学術博物館「記憶の劇場」活動⑦「ドキュメンテーション/アーカイヴ」事業担当。

 

中島那奈子
ダンス研究者、ダンスドラマトゥルク、日本舞踊宗家藤間流師範。ドラマトゥルクとして国内外の実験的舞台作品に関わり、近作にセバスティアン・マティアス “x/groove space”。「老いと踊り」の研究を進めつつ、「ダンスアーカイブボックス@TPAM2016」や「ダンスのマルチプルな未来」第9回恵比寿映像祭2017のキュレーション、シンポジウム開催も手がける。著書にイヴォンヌ・レイナーも寄稿する “The Aging Body in Dance: A cross-cultural perspective”,「踊る身体と踊りを見る身体の多様化」『Who dance ? 振付のアクチュアリティ』、「老いを巡るダンスドラマトゥルギー: ライムント・ホーゲのAn Evening with Judyを中心に」『舞台芸術』19など 。www.nanakonakajima.com




イヴォンヌ・レイナー
1934年サンフランシスコ(アメリカ)生まれ。ダンサー、振付家、映画監督。1962年のジャドソン・ダンス・シアター創立メンバーのひとりで、従来のモダン・ダンスに対し、ポストモダン・ダンスと呼ばれる新たなダンスの概念を形成した。1966年には代表作『トリオA』を発表。1970年代から映画制作を始め、『パフォーマーの生活(Lives of Performers)』『特権(Privilege)』『ベルリンからの旅(Journeys from Berlin)』などを製作。2000年代から振付家の活動を再開。著書に『作品1961-1973(Work 1961-1973)』『フィーリングス・アー・ファクツ(Feelings Are Facts)』『詩(Poems)』など。

 

ジャック・ウォルシュ
実験映画、ドキュメンタリー映画のジャンルで活躍し、これまで9作の映画を発表。そのテーマは文化的アイコンや社会正義、セクシュアル・アイデンティティなどにわたり、観る者にさまざまな探究心や好奇心を起こさせる。プロデューサーとしても2作品でエミー賞を受賞。サンフランシスコ国際映画祭 ゴールデン・ゲート賞を自身の映画で受賞。ジョン・サイモン・グッゲンハイム・メモリアル財団をはじめとする映画制作における助成もこれまで多く受けている。ドキュメンタリー映画監督デビュー作となった『フィーリングス・アー・ファクツ〜イヴォンヌ・レイナーの生涯〜』は2015年のベルリン国際映画祭パノラマ部門にてプレミア上映され、その後世界各地で上映されている。