舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点では、京都芸術劇場15周年を迎える2016年度に合わせて、本劇場・舞台芸術研究センター・学科の立ち上げに深く関わった演出家・劇作家太田省吾に関する実践的な研究プロジェクトを実施する。
1960年代日本の前衛演劇の旗手たちは、「劇的言語」「劇的身体」をめぐって、リアリズムに還元できない独自の視点・アプローチを各々が持っていた。そのなかでも太田省吾は、「沈黙劇」を軸に、独自の言語論、身体論を世に問い、多くの後続作家や他ジャンルの芸術家に大きな影響を与えたことで知られている。近年、彼の作品は、ヨーロッパだけでなく、韓国、インド等で新演出が試みられ、日本でも若手演出家が読み直しを行っている。本研究プロジェクトは、こうした近年の動向を踏まえつつ、より幅広い視点から、太田省吾の演劇的可能性の検証をもくろむものである。
2016年度は、ひとまずその最初のスタートとして、京都を拠点に活躍する若手演出家3人と共同プロジェクトを組み、太田省吾の劇世界の新しい世代から見た可能性の検証を行う。太田氏自身が立ちあげた本学映像・舞台芸術学科の卒業生でもあり、現在、さまざまな国内外のフェスティヴァルで活躍しつつある村川拓也、相模友士郎、和田ながらの3氏に、太田省吾の台本、及び批評をテキストに実験的舞台を創作。ゲストを交え、そのプロセスに基づいたディスカッションも実施していく。「沈黙劇」に限ることなく、太田省吾の劇言語の演劇観を広く検討の対象として、「未来」の上演について考える。
【研究会参加者】
■研究代表
森山直人(京都造形芸術大学舞台芸術学科教授、演劇批評家)
■共同研究者
山田せつ子(ダンサー・コレオグラファー)
相模友士郎(演出家)、村川拓也(演出家・映像作家)、和田ながら(演出家)
■研究協力者
八角聡仁(批評家・近畿大学文芸学部教授)
新里直之(近畿大学大学院総合文化研究科日本文学専攻 修士課程)
長澤慶太
【研究期間】
2016年7月~2017年2月
特設ウェブサイト http://ohtakyoten.jimdo.com/
研究協力者の新里直之さんによる報告が、京都造形芸術大学舞台芸術研究センターが企画・編集をしている書籍「舞台芸術21」に掲載されました。
ぜひご高覧ください。
◆p.156「問いかけを結ぶ環」(報告 新里直之)
「舞台芸術21」(2018年3月25日初版発行)
http://k-pac.org/book/21.html
≪劇場実験≫
日時:2017年2月18日(土)13:00(受付開始は30分前)
会場:京都芸術劇場 studio21(京都造形芸術大学内)
料金:1000円(予約優先制)
【演出】
相模友士郎 村川拓也 和田ながら
【スタッフ】
舞台監督:濱田真輝( GEKKEN staff room)
照明:藤原康弘
音響:甲田徹
制作:竹宮華美(舞台芸術研究センター) 豊山佳美
協力:浜村修司(GEKKEN staff room)
≪予約受付≫
定員に達しましたので、ご予約の受付は終了致しました。
当日券の情報は追ってご連絡いたします。
主催:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
文部科学省 共同利用・共同研究拠点
<舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点>
2016年度 共同研究プロジェクト「太田省吾を〈読む〉―「未来」の上演のために」研究代表者:森山直人
京都芸術センター制作支援事業
【演出家プロフィール】
相模友士郎 (さがみ・ゆうじろう)
1982年福井生まれ。演出家。2009年に伊丹に住む70歳以上の市民との共同制作舞台『DRAMATHOLOGY』を発表し、翌年フェスティバル/トーキョー10に正式招聘される。2012年にダンス作品『天使論』を発表。各地で再演し、TPAM in YOKOHAMA 2015では国際コラボレーション作品として上演。その他の作品に『それはかつてあった』(2013)、『ナビゲーションズ』(2014)、『スーパーインポーズ』(2016)など。様々なコミュニティの中に入り込み、そこにいる人々と共同しながら、見るという身体的経験を問い直すような舞台作品を発表している。
村川拓也 (むらかわ・たくや)
1982年生まれ。演出家・映像作家。ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を演劇、映像の分野で発表している。虚構と現実の境界に生まれる村川の作品は、表現の方法論を問い直すだけでなく、現実世界での生のリアリティとは何かを模索する。主な作品に『ツァイトゲーバー』、ドキュメンタリー映画『沖へ』など。『ツァイトゲーバー』は各地で再演され、2014年にはHAU Hebbel am Ufer(ベルリン)にて上演。また、2015年に韓国・光州Asia Culture Center-Theaterにて滞在制作を行う。セゾン文化財団助成対象アーティスト。
和田ながら (わだ・ながら)
京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科卒業、同大学院芸術研究科修士課程修了。2011年2月に自身のユニット「したため」を立ち上げ、京都を拠点に演出家として活動を始める。日常的な視力では見逃し続けてしまう厖大な細部を言葉と身体で接写するような作品を制作。主な作品に『はだあし』(2011年)、『わたしのある日』(2015年)、『文字移植』(2016年)など。2015年、FFAC創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5最優秀作品賞受賞。したためは2015年よりアトリエ劇研創造サポートカンパニー。
太田省吾 (おおた・しょうご)
1939年、中国済南市に生まれる。1970年より1988年まで転形劇場を主宰。
1978年『小町風伝』で岸田國士戯曲賞を受賞。1960年代という喧騒の時代に演劇活動を開始しながら、一切の台詞を排除した「沈黙劇」という独自のスタイルを確立する。代表作『水の駅』は沈黙劇三部作と称され、現在でも世界各地で作品が上演されている。また、『飛翔と懸垂』(1975年)、『裸形の劇場』(1980年)など、数々の演出論、エッセイを著している。
転形劇場の解散後は、藤沢市湘南台文化センター市民シアター芸術監督、近畿大学文芸学部芸術学科教授を経て、2000年の京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科開設や、続く2001年の同学舞台芸術研究センターの開設に深く関わり、日本現代演劇の環境整備に力を注いだ。2007年、67歳で逝去。
開催 | 2017年2月18日(土) | 料金 | 1000円(要事前予約) |
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時間 | 13:00(受付開始は30分前) | 座席 | 80 |
会場 | 京都芸術劇場studio21 | 主催 | 京都造形芸術大学 共同利用・共同研究拠点 |
京都芸術大学
共同利用・共同研究拠点事務局(舞台芸術研究センター内)
〒606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116
Tel:075-791-9144 Fax:075-791-9438