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本研究は、2018年に初演された日野浩志郎のコンサートピース「GEIST」をその研究基盤とし、相互に関係性を持った自動演奏楽器、音の空間的な移動を可能とする入出力装置、および、それらの楽器・装置により半ば自律的に演奏・変化される音楽に対する新たな作曲・演奏法を、開発しようというものです。COVID-19以降、オンラインないしはオンサイトでさまざまな取り組みが模索・実演されているように、音楽鑑賞の在り方が広く再考されている現在において、特に舞台芸術作品としての音楽ライブを、どのように従来の固定化された座席での鑑賞体験から更新できるか、を模索する試みとなります。
本研究の基盤となる「GEIST」は、作曲家/ミュージシャンの日野浩志郎による、コンサートピースでありながら、インスタレーション的な側面も含む総合的な作品として、2018年3月にクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)BLACKCHAMBERで初演され、2019年12月には山口情報芸術センター(YCAM)にて、楽曲や構成、舞台装置などの要素を大幅にアップデートした公演が行われました。日野は、関西を中心に「goat」「YPY」「VirginalVariations」など実験的なプロジェクトを複数展開しており、近年ではヨーロッパでのツアー、太鼓芸能集団・鼓童への楽曲提供など活動の幅を広げています。これまでの「GEIST」は、複数のスピーカーやマイクが配置された空間内において、フィールドレーコディングされた音源、日野により作曲された電子音源、ドラム、管楽器、チェロ、制御基盤とアクチュエータを有した自動演奏楽器による生演奏と照明装置が、タイムライン上で特定のルールによって進行するという音響構造を持っていました。本研究において、自動演奏楽器、入出力装置、および作曲・演奏法の開発として、これら実践の中でも特に、YCAMでの公演の際に取り入れた生楽器を鳴らす自動演奏を発展させ、音のトリガーとして外的要素から数値を取り出し演奏に反映させることに取り組もうとするものです。自動楽器演奏はもちろんのこと、劇場内の照明の移り変わりによる楽器演奏者への影響、またはソフトウェア上での電子音/フィールドレコーディングへの干渉などを通じ、理想的には会場や天候、季節や時間帯といった要素までを毎公演に影響させることを検討しています。これまでの作品制作における様々な変更や気づきを踏まえたこの取り組みを通じて、当初の理想である「多元的な空間の表現」を実現するとともに、楽器同士のコミュニケーションを使った自然に近い有機的演奏を舞台芸術作品としての音楽ライブとして機能させます。
【公開研究会日】未定
詳細についてはこちらのページで更新していきます。
【研究メンバー】
石川琢也 (京都芸術大学 情報デザイン学科 クロステックデザインコース専任講師)(研究代表)
白石晃一(京都芸術大学 情報デザイン学科 クロステックデザインコース准教授)
城一裕(九州大学 芸術工学研究院 准教授)
日野浩志郎(アーティスト)
古舘健(アーティスト)
【参照ページ】
GEIST @山口情報芸術センター[YCAM]
https://www.ycam.jp/archive/works/geist/
【大学開学30周年記念 劇場20周年記念】
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