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テーマ研究Ⅰ「近代日本語における〈声〉と〈語り〉」(全7回予定)
第1回 日本の伝統演劇における〈語り〉1:狂言の場合

2013年9月6日(金)、研究会「近代日本語における<声>と<語り>」シリーズの第一回「日本の伝統演劇における<語り>1:狂言の場合」が開催されました。

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「近代日本語における〈声〉と〈語り〉」を論じるには、その前史というか、前提となる文化的記憶と言うべき「日本の伝統芸能における〈語り〉」の構造と作用を見ておかねばなりません。

そこで、まずは「日本の伝統演劇における〈語り〉」について見ておくために、第一回と第三回を、「伝統演劇」にあてました。

まず第一回目は、現代の狂言を代表する人間国宝の和泉流野村万作師をお招きして、狂言における「語り」の代表的な演目を実演していただきました。というのも、狂言は、日本の伝統演劇においては、ほとんど例外的と言ってよいほど、「台詞劇」として洗練されたジャンルですが、その「台詞」は、単に日常的な会話の再現ではなく、時として「呪術的な」異形の姿をとる事があります。

そのような「語りの演技」の典型として、大曲『釣狐』の前段に置かれた「古狐が化けた白蔵主(はくぞうす)」が、狐を獲る甥の猟師に、「九尾の狐」の故事を語って、狐の恐るべきことを説き聞かせる「白蔵主の語り」を、面や装束は着けない形で演じていただきました。

 狂言の世界では、「猿に始まり狐に終わる」と言われるように、『釣狐』は、最も重い曲とされていますが、それは、「語り」のもつ「呪力」への畏怖の念が、演者に伝えられているからでしょう。

この回では、能の『屋島』の「間(あい)」として語られる「奈須与市語 (なすのよいちのかたり)」も取り上げましたが、それは「語り」の原点とも言うべき「戦(いくさ)物語」である〈平曲〉の主題『平家物語』を素材にしているからです。この「語り」は、前回の春秋座能狂言「東西狂言華の競演」の舞台で、万作先生ご自身に語っていただきましたから、ご覧になった方も多いと思いますが、伝統演劇における伝承の実態にも立ち会っていただきたいと思い、今回は万作先生のお弟子に語っていただきました。

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演目:『釣狐』(「語り」)野村万作/『奈須与市語』深田博治

トーク:野村万作、渡邊守章

出演者

ゲスト講師:野村万作(人間国宝・和泉流狂言方)

出演:野村万作/深田博治

モデレーター:渡邊守章(演出家・京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長)

 

野村万作 のむら まんさく

和泉流狂言方。一九三一年生まれ。重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)。祖父故初世野村萬斎及び父故六世野村万蔵に師事。早稲田大学文学部卒業。「万作の会」主宰。狂言の秘曲である『釣狐』の演技で芸術祭大賞を受賞した他、紀伊國屋演劇賞、日本芸術院賞、紫綬褒章、坪内逍遥大賞、朝日賞、旭日小綬賞等多くの受賞歴を持つ。国内外で狂言普及に貢献し、ハワイ大・ワシントン大では客員教授を務める。古典はもとより新しい試みにもしばしば取り組み、代表作に『月に憑かれたピエロ』『子午線の祀り』『秋江』『法螺侍』等がある。著書に『太郎冠者を生きる』『狂言三人三様・野村万作の巻』。渡邊守章演出作品では、「冥の会」の『アガメムノーン』『メーデーア』等に出演。

 

深田博治 ふかた ひろはる

野村万作に師事。国立能楽堂・能楽三役第四期研修修了。能楽協会会員。

94年『魚説法』シテで初舞台。『奈須与市語』『三番叟』『釣狐』を既に披く。

「万作の会」の演者の一人として国内外の公演に出演、実直な演技を見せている。

06年に発足した一門の若手研鑽会「狂言ざゞん座」同人。一門の若手を引っ張るリーダー的存在でもある。朝日カルチャーセンター狂言クラス、また共立女子大学・東京女子大学・早稲田大学の各狂言サークルを指導。2012年より出身地・大分県で「狂言やっとな会」を主宰。

 

渡邊守章 わたなべ もりあき

一九三三年生まれ。東京大学教授、放送大学副学長、パリ第三大学客員教授等を経て東京大学名誉教授、京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長・教授。専攻は仏文学・表象文化論。演出家。演劇企画「空中庭園」主宰。著書に『ポール・クローデル―劇的想像力の世界』『虚構の身体』等。訳書に、ラシーヌ『フェードル アンドロマック』、ジュネ『女中たち バルコン』、クローデル『繻子の靴』( 上・下、毎日出版文化賞、日本翻訳文化賞、小西財団日仏翻訳文学賞受賞)、バルト『ラシーヌ論』( 読売文学賞受賞)等。演出作品に、ラシーヌ『悲劇フェードル』(芸術祭優秀作品賞)、クローデル『真昼に分かつ』、ジュネ『女中たち』(読売演劇賞)、泉鏡花『天守物語』等。日本の伝統演劇にも詳しく、能ジャンクション『葵上』『當麻』を、またクローデルの詩による創作能『内濠十二景、あるいは《二重の影》』『薔薇の名―長谷寺の牡丹』を作・演出。

 

 

開催2013年9月6日(金)料金無料
時間18:30(開場18:00)座席自由
会場京都芸術劇場春秋座主催京都造形芸術大学舞台芸術研究センター

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