島田歌穂さんインタビュー 音楽の魅力 ご主人で日本を代表するピアニストの島健さんとデュオを組んで15年目―。ジャズからポップス、民謡にいたるまで2人が作り出す暖かい音楽にファンは多い。子役から活躍している歌手でミュージカル女優でもある島田歌穂さんに音楽の魅力について伺いました。 聞き手:舞台芸術研究センター 構成:佐藤和佳子

2.子役からミュージカルで主演をするまで

―島田歌穂さんは子役でデビューされたのですよね。お父様は音楽家、お母様は宝塚出身のジャズ歌手ですが、デビューのきっかけは何だったのですか?

子供の頃、西野バレエ団でバレエを習っていたんです。 そこで声をかけていただいたのがきっかけでした。 でも、気が付いたら歌ったり踊ったりすることが大好きで、 お芝居にも興味があったので両親も 「やりたいと思うならやってみなさい」って言ってくれたんです。

やってみたらドラマが面白くてしょうがなくて、 「私は女優になるんだわ」って子供心に思っていました。 高校生になると「アイドル歌手やってみない?」って言われまして ちょうどその頃、80年代アイドルブーム真っ只中。 アイドルなら今しかできないし「やってみます!」と言って 近藤真彦さんと同じ年にデビューしたのですが、 これが全く売れなくて。困ったなーと思っていたら、 「ミュージカルのオーディション受けてみるか?」ということで 受けたらなんと受かりまして。 『シンデレラ』で主役をやらせていただきました。

この初舞台の時に、もう、かつて体感したことのない感じ… なんていうでしょう。今まで自分が知らなかった 自分の中に眠っていたエネルギーみたいなものが お客様の前に立った時にぐわーっと出てくるような気がしたんです。 もう、「キモチイイ~!!」「楽しい~!!!」って(笑)

ここが私の一番輝ける場所なんじゃないかと 舞台の上で感じたんですよ。 アイドルなんて辞めて私はこの道に進む!って決めちゃいました。

とはいえ、すぐに役がもらえるわけでではなく、 アンサンブルの時代があって、少しずつ役をもらえるようになって そんな時に『レ・ミゼラブル』オーディションの話があったんです。 受かるわけないと思いながらも、 この舞台は何かすごいことが起きそうで、 参加することに意義があるような気がして オーディションに参加したのですが、なんとエポニーヌ役に合格してしまって。 この『レ・ミゼラブル』は、大きく人生を開いてくれた作品ですね。 感謝し続けている作品です。

―同年に『レ・ミゼラブル』の世界ベストメンバーに選ばれて、日本の俳優・歌手として初めてイギリスのザ・ロイヤル・バラエティ・パフォーマンスに招待されたんですよね。

これは英国王室主宰のチャリティコンサートで、 色々なアーティストが参加するのですが、 その時に『レ・ミゼラブル』のカンパニーが出ることになり、 世界中からメンバーが集められたんです。

NYから一人、イスラエルから素晴らしいジャンバルジャン、 エポニーヌは日本からということになり呼んでもらえたんです。

その後に、舞台を最初から最後まで観るのと同じように録音した コンプリートアルバムを作ることになって その時にも各国からベストキャストが集められることになり、 私も声をかけていただき、英語で録音に参加しました。 そのアルバムがグラミー賞を受賞しまして。 (1990年第32回グラミー賞「Best Musical Cast Show Album」 (レ・ミゼラブル/インターナショナル・キャスト盤)

―当時、日本でグラミー賞を取った方って、ほとんどいらっしゃらないですよね。

私がステージでトロフィーをもらったわけではないので(笑) でも授賞式でプリンシパルとして名前を呼んでもらえたんですよ。

その頃はブロードウェイにロンドンのミュージカルが台頭してきた初期で、 ミュージカル界の歴史も動き始めていたような時でしたね。 だから、そういう企画が珍しかったと思いますし、 世界中で同じ作品を各国の言葉で上演するとか、 色々な意味でセンセーショナルな 感じに取りあげていただいたんだと思います。

づづく