安蘭けい&京フィル スペシャルコンサ―トin春秋座
安蘭けいさん
インタビュー
元宝塚の人気トップスターの安蘭けいさん。
2009年4月、東京宝塚劇場でのサヨナラ公演千穐楽終演後、
日比谷界隈には退団を惜しむファンが8000人も集結し、
旅立ちを見送りました。
退団後は数々のミュージカルやコンサートに出演し、
女優・安蘭けいとして、活躍を続けています。
今回、春秋座にて
「安蘭けい&京フィル スペシャルコンサートin春秋座」を
開催するにあたり、当劇場プロデューサーの舘野佳嗣が
以前より親交のあった、安蘭けいさんに
今回のコンサートについて、
ざっくばらんにお話を伺いました。
- 舘野
- 今回のセットリストを拝見して意外に思ったのは、
宝塚で1998年に上演した『凍てついた明日』の中の
「Blues Requiem」という曲。
これは安蘭さんがまだ下級生の時にソロで歌われたんですよね。
- 安蘭
- そうです。
- 舘野
- 今回、改めて聞いてみたのですが、いい曲ですね。
ブルージーなバラードで。
- 安蘭
- これをオーケストラが演奏したらどんな風になるか
- 舘野
- 楽しみですね。
これはファンクラブの方からのリクエストだったのですか?
- 安蘭
- 私が言ったんです。
私の出しているCDの中から入れたいなと思って。
- 舘野
- 安蘭さんの歌声は宝塚時代から定評がありますし、
色々な曲を歌われてきた中で、どうして「Blues Requiem」を?
- 安蘭
- いつもと違う歌を歌ってみたいと思ったのが
正直なところです。
ファンの皆様にとっても何か新鮮なものが、いいなと。
「Blues Requiem」はファンの方も好きでいてくださるし、
私も好きだけれど最近歌っていないなと思って。
だから、もう一回、このあたりで歌ってみようと思いまして。
最近のディナーショーとかでも歌っていなかったので。
- 舘野
- 何回も歌っていると嫌になっちゃうことがあるんですね。
- 安蘭
- 嫌になるというよりも、何度も繰り返し歌っていると、
もっとニュアンスを変えたいとか、
アレンジを変えたいとか考えてしまいます。
- 舘野
- やはり、コンサートとミュージカルでは歌い方が変わります?
- 安蘭
- そうですね。コンサートは朗々と歌えるので、
やはり気持ちがいいですよね!
- 舘野
- ミュージカルだと芝居をしていて
テンションが上がり、その気持ちの現れが歌につながるってありますよね。
- 安蘭
- そうですね。
- 舘野
- コンサートでも、芝居の時の気持ちが入ってくる時は
ありますか?
- 安蘭
- そういう時もありますけれど、
曲だけ独り立ちしているようなときもあります。
- 舘野
- この曲以外には退団後に出演されたミュージカルや
ポップスなどの曲が多いですね。
- 安蘭
- そうですね。
- 舘野
- そうそう、この『CHESS THE MUSICAL』の中の
「Heaven Help My Heart」は、すばらしいバラードですね。
歌詞を見ると2人の男の間で気持ちが揺れ動いているという、
でもその思いを振り切っていこう!
という歌なんですよね。
- 安蘭
- 振り切るっていうか、これが私(フローレンス)なのね
と受け入れるような歌ですかね。
- 舘野
- いつも前を向いていくって、
何となく、安蘭さんの性格に合っている気がしますけれど。
- 安蘭
- 物事によるかな。実はすごくネガティブなんですよ、私。
ポジティブに考えようってできる時もあるけれど、
多分、根本的にネガティブなんです。
見た目と違うんですよ。(笑)
- 舘野
- でも曲目を見ているとそういう曲が多いんですよね。
例えば、退団後に主演されたミュージカル
『MITSUKO~愛は国境を越えて~』の「後ろを振り向かずに」。
これは力強い良い曲ですよね。
1892年の日本女性で始めて国際結婚したグーデンホーフ光子
の話ですが、オーストリア・ハンガリーの駐日大使である
ご主人を亡くした光子が子供たちを連れて
ウィーンへ渡る時に歌うんですよね。
この曲を聞いていると僕ら、
本当に背中をポンッと押されているような気がしてきますね。
勇気をもらって元気になる。
今回は、そういう応援ソングが多いですね。
- 安蘭
- でも、そういう曲ばかりをあえて選んだわけじゃないんです。「最後の雨」は全く、そういう曲じゃないですからね。(笑)
- 舘野
- これは前川清さんとかEXILEのATSUSHIさんとか
色々な方がカバーしている名曲ですね。
- 安蘭
- そうみたいですね。
- 舘野
- 歌唱力のある方ばかりですね。
- 安蘭
- そうですね。
かっこいい素敵な曲ですよね。
- 舘野
- どうして、この曲を?
- 安蘭
- これは男役をめざして頑張っていた
宝塚の下級生の頃に出会った曲なんです。
男役の声を作るのに頑張っていた頃に歌っていた曲ですね。
だからこの曲調が好きなんです。
これを歌うと、上級生に連れられてカラオケ行ったなとか、
思い出しますね。(笑)
- 舘野
- 歌詞の内容がすごいから、
歌詞に対する特別な想いがあるのかなと思いました(笑)。
そして「愛の讃歌」。エディット・ピアフの名曲ですね。
この曲をどうやって歌おうかというイメージは
あるんですか?
- 安蘭
- ミュージカル『エディット・ピアフ』で
主演した時に歌わせていただいたんです。
日本で「愛の讃歌」といったら
越路吹雪さんのイメージがすごく強いですよね。
もちろん私は越路さんではないので
越路さんの味は出せないですけれど、
私が歌うピアフから離れた安蘭けいの「愛の讃歌」は
どうなるんだろうなって、これから探していくところです。
ただ、本当にこの曲は大きすぎるので
今回、セットリストに入れるか迷ったんですよ。
でも、ピアフの曲はいれたくて、
「La Vie en rose(薔薇色の人生)」や「水に流して」も
いいなと思ったんですが、
今回の指揮者・中井章徳さんが押してくださって。
- 舘野
- 「愛の讃歌」というと美輪明宏さんや加藤登紀子さんでは
歌詞が違いますよね。
本当は、ものすごく強烈な詞なんですね。
- 安蘭
- そうですね。
でも岩谷時子さんは、きれいな歌詞をお書きになるので。
- 舘野
- とすると今回の詞は?
- 安蘭
- 岩谷さんのです。
- 舘野
- 今回はチャレンジということですね。
- 安蘭
- そうですね。久々に歌うので。
ただ、シャンソンって、ジャズもそうですけれど
リズム(テンポ)が動くんですね。
でもオーケストラでは、リズムの変動がどうなるのか、
そこがちょっと難しいかなと思っていて。
- 舘野
- 途中で、つぶやくような歌い方をするところもありますよね。
- 安蘭
- だからジャズやシャンソンって
オーケストラと歌うのはすごいチャレンジだと思います。
- 舘野
- でも京都フィルさんは、
クラシックだけじゃなくて、
いろいろなジャンルの曲を演奏されている、
とても器用な楽団ですから。
- 安蘭
- そうですよね。
それに指揮者の方によってぜんぜん違いますからね。
きっちりオーケストラにしっかり合わせてください、という
スタンスの方もいらっしゃいますし。
今回の指揮者の中井さんには、
実は、まだお会いしていないのですが、
お話が面白い方と伺っていますし、どんな方か楽しみです。
- 舘野
- 京フィルの理事長・小林明さんからは、
指揮者の中井章徳さんは
若くハツラツとしているのはもちろんですが、
指揮もトークもすばらしい、三拍子そろった指揮者です、
というお墨付きをいただいています。
今、イチオシの方なんですよ。
そういう意味ではライブ感のある
良いコンサートになりそうですね。
- 安蘭
- そうですね。
それにミュージカルの場合、オーケストラはオケピにいるので、
演奏している様子が、客席からは見えにくいのですが、
今回はステージ上で演奏していただくので、
演奏している様子も楽しんでいただけたらなと思います。
もちろん歌っている私も見てほしいですけれどね(笑)。
オーケストラが見えるのも楽しいですよね。
今回のプログラムでは今、私が歌いたい曲と、
最近歌っているミュージカルなどの曲、
それからオーケストラと一緒に歌ったら
どんな風になるのかな、という曲を中心に選んでいます。
最新の安蘭けいの歌が見られると思います。
ぜひ、楽しみにいらしてください。