振付家・演出家の白神ももこと京都在住の音楽家やぶくみこが俳人尾崎放哉の自由律俳句に題材を求め、その可能性と広がりから影響を受け、制約と無限という矛盾を孕んだ「自由」についてダンスと音楽、「上演」としての作品の可能性を追求する。
白神ももこは市井の人の素朴な動きを作品に取り入れ、親しみある振付とたたずまいを舞踊へと変化させる活動を行なっている。やぶくみこは様々な背景の人を巻き込んで音楽をつくる共同作曲の実践者でもある。
文章にならないことば、音楽になるまえの音、ダンスになるまえの動きを丁寧にとらえたい。
多くの芸術作品ができあがる手前には膨大なピースがあり、それらは河原の石のように広がっている。拾い上げ、並べ、意味を見出し、作品とする。ときには抽象的なものも何かに見立て、想像に遊ぶ感性を磨き上げたものが日本の伝統的美意識である。
さらに私たちは、日本にいる外国人や、主婦、労働者、子どもからお年寄りなどからも広く声を聞けるような機会を設けワークショップや句会を実施する。現代の末端で言葉にならずに感じている空気のようなものを紡いだ言葉を採取して現代というものを捉えたいと思っている。
そして、できるだけ構えない大らかな言葉として自由詩というものに期待して個々人の生きた言葉から音楽、身体、そして空間として落とし込んでいきたいと考えている。
それがやがて合唱になるのか、オーケストラになるのか、はたまた演劇やダンス、ミュージカル、映像、なにに変身するかは分からないが、『民衆』の目線を軸にしたパフォーミングアーツとして発表したいと思っている。
尾崎放哉の自由律俳句の好い加減さと味わい深さ、物事の本質に迫る一言に影響され、リスペクトを込めてこのリサーチをする。
白神ももこ(振付家・演出家・ダンサー)
やぶくみこ(音楽家)
川島玲子(サポートスタッフ)
インタビュー協力者
高橋真太郎氏(鳥取市立図書館司書)
京都芸術大学
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