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京都芸術大学舞台芸術研究センター
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公募研究III:「想起の空間としての劇場」《Showing》シリーズ
showing_02 「山びこのシーン」

京都造形芸術大学<舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点>2014 年度共同研究プロジェクト「想起の空間としての劇場」は、アーティストと研究者が「創作」と「研究」を並行して行う場として立ち上がりました。

アーティストが上演を行なう《Showing》シリーズでは、「公演」における各要素の中で、複製技術を持つメディア(音、写真、映像、印刷物など)を取り上げ、それぞれの視点から劇場へと向かう創作を試みています。

第1回目は、昨年8 月に京都芸術劇場studio21にて、音響作家・荒木優光による音響上演『パブリックアドレス- 音場2』を開催しました。

第2回目は、写真メディアを扱う美術家・加納俊輔による上演作品を発表致します。加納は、物質の表層に騙し絵的な「仕掛け」を与えることで、平面を示唆するような作品を創作しています。例えば、代表的なシリーズとして、キューブ(立方体)にカラフルなプラスティック製バンドを巻き付けた作品がありますが、よく見ると、その表面には写真が貼り付けてあることが分かります。これは、実際にその表面にプラスティック製バンドを巻きつけて撮影し、その写真を物体に張り付けて、また撮影するという行為を繰り返したものです。写真を再撮する・物質へ貼付けるといった行為に含まれる時間性と空間性を圧縮して一枚の写真に定着する加納の作品に着目し、本企画では、加納が構成したパフォーマンスを劇場空間にて上演します。写真というメディアを通して、舞台芸術の可能性を再考する機会となるでしょう。

*終演後には、倉石信乃氏、八角聡仁氏をゲストに向かえ、アフタートークを開催いたします。

企画の詳細については、下記のWebサイトをご覧ください。

http://show-ing.tumblr.com/

 

 

◎作家テキスト

山の中で「ヤッホー」と叫ぶ。すると、むこうの山から「ヤッホー」と返ってくる。

昔の人たちは、この現象を山の精霊が自分の声色を真似て応えているのだと思っていたことから、山の神、山の精霊の意味をもつ「山びこ」と名付けた。でも、今この日本に住んでいるぼくたちは、この「山びこ」を山の精霊の仕業だと素朴に信じることは難しい。

ここにあったものが、一度むこう側に行って、そして全く同じ状態で返ってくる。ぼくたちは、この「山びこ」という現象を、発された声(音波)が、山の斜面や物体にぶつかり、反響したものがこちらに返ってきていると知っている。でも、実際のところはどうなのだろうか。今自分が居る場所から確認できないむこうの山で、本当に反響が起きていたのか、あるいは精霊が声を真似たことをどうして否定できるのか、それをぼくたちは確認することはできない。反響なのかもしれないし、山の精霊の仕業なのかもしれない。

さっきぼくが発した声は、反響であろうと精霊の声真似であろうと、いずれであっても、「さっきぼくが発した声」として返ってくる。それら二つは行きも帰りも同じ姿をしているが、実は全く違うプロセスを経て戻ってきている。

とにかく、今ここで確認できるのは目の前にあるものとその後に示される記録だけ。それらをじっくりと眺めること、あとその見ることの出来ない「むこうの山」のことを想像してみること。

《Showing》02 写真『山びこのシーン』ダイジェスト映像https://vimeo.com/148838732

 

◎展示情報

タイトル:「山びこのシーン」の記録

会期:2015年2月28日(土)-3月8日(日)会期中無休

オープン時間:12:00-20:00

3/7(土)15:00- クロージングイベントを行ないます。

会場:Social Kitchen

URL: http://hanareproject.net/

上演作品「山びこのシーン」の制作過程の記録を展示します。

 

出演者

◎作家プロフィール

加納俊輔(Shunsuke Kano)

1983年大阪生まれ。2010年京都嵯峨芸術大学大学院芸術研究科修了。主なグループ展に、『これからの写真』(愛知県美術館)、『shiseido art egg|ジェンガと噴水』(資生堂ギャラリー)、『加納俊輔・高橋耕平展「パズルと反芻」』(island MEDIUM、NADiff window gallery、実家|JIKKA)、『第15回岡本太郎現代芸術賞展』(川崎市岡本太郎美術館)等。現在、京都在住。http://kanoshunsuke.net/

 

◎アフタートーク・ゲストプロフィール

倉石信乃

1963 年生まれ。明治大学教授。1988~2007年横浜美術館学芸員として、ロバート・フランク展、菅木志雄展、中平卓馬展、李禹煥展などを担当。主な著書に『スナップショット-写真の輝き』、『反写真論』など。2001年シアターカンパニーARICA創立に参加、コンセプト・テクストを担当。2013年あいちトリエンナーレで初演、翌年京都芸術劇場春秋座他で再演したベケット作「しあわせな日々」では新訳を行う。

 

八角聡仁

批評家、近畿大学文芸学部教授。1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。在学中から文筆活動を始め、文学、映画、演劇、ダンス、写真、美術などに関する論考多数。京都造形芸術大学教授などを経て現職。雑誌・書籍の編集、展覧会・舞台公演の企画等にも数多く携わる。編著『現代写真のリアリティ』(角川学芸出版) 他。

 

◎クレジット

構成:加納俊輔

構成補助:荒木優光

舞台監督:大鹿展明

照明:藤原康弘

音響:齋藤学

宣伝美術:山田卓矢

 

研究チーム:

横堀応彦、荒木優光、針貝真理子、中山佐代

開催2015年3月3日(火)料金無料
時間18:30開演(受付・開場は30分前)座席自由(要予約)
会場京都芸術劇場 春秋座主催2014年度 <舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点>共同研究プロジェクト「想起の空間としての劇場」研究代表者 横堀応彦

お問い合わせ

京都芸術大学
共同利用・共同研究拠点事務局(舞台芸術研究センター内)
〒606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116
Tel:075-791-9144 Fax:075-791-9438