春秋座歌舞伎舞踊公演インタビュー+

5月8日(土)春秋座にて歌舞伎舞踊公演が行われます。
それに先立ち「京都芸術劇場ニュースレター」では
出演の市川笑三郎さん、段治郎さん、弘太郎さんに公演の見どころや
歌舞伎舞踊に対する思いについて様々なお話をうかがいました。
京都芸術劇場ニュースレター」で掲載しきれなかった
3人の楽しいお話を5回にわたり連載します。

第1回 お互いを紹介 ―笑三郎さん編―

―今日はありがとうございます。まずは自己紹介の代わりに、
お互いをご紹介いただけますでしょうか。
まずは笑三郎さんについて。歌舞伎のことでも結構ですし、普段の事でも結構ですし。
段治郎
そうですね。まだご存じない方もいらっしゃるので、
その方のためにどうですか? 弘太郎さん(笑)。
弘太郎
僕から~?(笑)。笑三郎さんは歌舞伎だけでなく、
本当に色んなことを知っていらっしゃる先輩ですね。
女形のことに関してもそうですし、立役の事はもちろん、
ずっとうちの師匠・猿之助の側にいて、師匠がおっしゃったこととか、
なさったことを、もう何でも覚えていらっしゃるので、
困ったら笑三郎さんに聞きに行くって感じですね。
段治郎
そうね~
―困った時は笑三郎さん?
弘太郎
コンピューターですね。
―コンピューター?
弘太郎
(笑)全てインプットされています。

左・市川弘太郎さん 右・市川段治郎さん
段治郎
猿之助の一門に弟子入りしたのは、笑三郎さんの方が
僕より一年、二年ぐらい先輩なんですけれども、
まあ同世代でずーっとやらせていただいていています。
でも最初お会いした時、年は笑三郎さんの方が2つ下なんですけれども…。
笑三郎
僕の方が2つ下なんですよ。
段治郎
なんでこんなに若いのに、こんな艶っぽい演技が
できるんだろうなーって思ってびっくりしちゃったんですよ。
それがとにかく第一印象で。宇宙人かなこの人はって(笑)。
本当にこの世のものとは思えないぐらい。
もうその演技も艶っぽいし、とても10代でこの演技は
できないだろうなと衝撃を受けたという思いがあります。
―その印象を受けた時、笑三郎さんは、まだ10代…。
段治郎
17、8でしたよね。僕が19で入ったので。
―17、8で艶って。
段治郎
びっくりしましたね。
笑三郎
弘ちゃん、こういう事言わなくちゃ(笑)。

市川笑三郎さん
段治郎
それにね、今、弘ちゃんが言ってくれましたけれど、
本当に全ての芸に対して隙がないというか。
えぇ、僕もすごく頼りにさせていただいていますし、
なくてはならない存在ですね。我々の中でね。
―では、ここで笑三郎さんに、お口のチャックを開けていただいて。
あの今のコメントに対してはどう思われますか?
笑三郎
いやー何か、入門してから無我夢中で来ていますので。
とにかくうちの師匠の元で私生活も芸の事も
一所懸命やってきただけなのですけれども、
そういう風に言っていただいて嬉しい限りでございます。
―笑三郎さんは女形を演じるに際して、実際の女性とか
女優さんとか、参考にされている方はおられるんですか?
笑三郎
誰っていうことはないんですが、参考にすることもあります。
それと元々男の我々が女を演じるわけですから、
どこまで行っても本物の女には近付ききれない。
ですから男性から見た女性、理想像をこう描きながら
役を作るようにしています。
「こんな恋人がいたらいいな」
とか、「こんなお母さんがいたらいいな」とか。
そういうのを常に思い浮かべながらやっています。
―ありがとうございます。
(つづく)

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