京都芸術劇場15周年 さらなる実験と冒険へ

回顧と展望のとき -京都芸術劇場15周年に寄せてー

 大学への通勤は市バスの3番が多いのですが、乗り合わせた人が春秋座の公演を話題にしていることがよくあります。そのたびに春秋座がすっかり地域に定着している印象を受けるのですが、春秋座はいまや京都だけでなく、全国的な知名度をもつにいたっているように思います。その春秋座と併設のstudio21が「大学の劇場」として瓜生山に誕生したのが平成13年、同時に「京都芸術劇場」もこの大小2つの劇場の総称として生まれたのでした。春秋座は同劇場の初代芸術監督の三代目市川猿之助氏(現猿翁)の設計になり、春秋座という名称も猿翁氏の命名で、『史記』の「春秋に富めり」と、猿翁氏の祖父である二代目猿之助主催の座名に由来することは、すでに周知のことかと思います。また、studio21は映像・舞台芸術学科長で、本センターの所長代行だった劇作家であり演出家であった太田省吾氏の命名です。もちろん、平成13年が2001年だったことによります。爾来15年、これまでには年間の公演数があまり多くない時期もあったと聞いていますが、近年は京都芸術劇場の運営を担当しているわれわれ舞台芸術研究センターも大忙しの状況が続いています。

舞台芸術研究センター所長/能楽研究 天野文雄

京都芸術劇場とは

 京都芸術劇場 春秋座 studio21は、2001年に京都造形芸術大学内に建てられた、日本の高等教育機関ではじめて実現した大学運営による本格的な劇場で、舞台芸術研究センターがその管理運営を担っています。歌舞伎劇場である「春秋座」と、小劇場である「studio21」の二つの空間があり、伝統芸能から最先端の実験公演まで、現代の多様な舞台芸術を幅広く上演しています。

春秋座

京都造形芸術大学で歌舞伎実技を教えていた三代目市川猿之助(現猿翁)の、大学に歌舞伎を演できる本格的な劇場を作りたいという強い希望のもとに実現した劇場です。現在は四代目市川猿之助が芸術監督を務めています。
「春秋座」の名は、『史記』の「春秋に富む」という言葉から取られたもので、若さに溢れ将来性ある若者を、本物の舞台芸術をとおして育成したいという願いがこめられています。春秋座は、歌舞伎公演のための盆(廻り舞台)やセリ、花道などのほか、オペラ公演のためのオーケストラピットも備えています。

studio21

現代演劇やダンス、パフォーマンスなど、多様な舞台芸術の実験を行うための空間です。
大学主催の公演・研究会のほか、舞台芸術学科学生による公演も多数開催しています。
さまざまな公演形式にあわせられるよう移動可能な音響・照明装置、客席を備えています。

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