演じる高校生 対談
第3回
- ―演劇部の運営はどうでした?
- 梅野
- とにかく、いかに役者をまとめるかが大変でしたね。
工芸(大阪市立工芸高等学校)さんみたいに、僕んとこは熱血派じゃないし、
情熱がある人と無い人がいて。部員のほとんどは女の子なんだけれど、
本番直前に髪を結わなあかんのに、髪切ってきちゃたりして
「あんたどうすんの!」とか。それにすぐに体調悪くしちゃうし、みんな。
- 前川
- 体調悪くする人は、本当に困りますよ。
- 真栄田
- 僕ね、大事な時に病気にかかるんですよ。
近畿大会の本番の3日前にノロウイルスにかかってしまいまして。
- 前川
- 外での練習のしすぎですかね。
- 真栄田
- 死にそうになりながら本番を迎えました。
- 梅野
- そんなことの積み重ねで、心がだんだん心がすさんできて…。
でも、ここまで来て部員の子も喜んでくれて、楽しんでくれて、
最終的によかったかな。
- 前川
- やっぱり部員をまとめるのが大変でしたね。やる気の度合いが違ったりとかね。
みんな課題を抱えていて、人によって課題の度合いが違うんで。
家でやれる課題の子や、学校でしかやれない課題の子とかね。
- 真栄田
- そんなん家でやったらええやん、とかいう子もおったし。キリがないよね。
- 梅野
- でも今思えば、よくついてきたなって思う。
- 真栄田
- それはな。うん。
- ―現在でも当時のそういった苦労や経験が生きているのでは?
- 梅野
- 大学2回生の時にピッコロシアターで芝居をしたんですけれども、
その時の人たちが卒制でも付き合ってくれて、最後まで残ってくれていますね。
でも演劇部とは全然違いますよ。大学の仲間たちのやる気は。そこが違いますね。
こっちが演出家として言わないことまで、やってくれるから。
資料とか調べてくるし、役者としてポリシーがあるんですよね。
自分はプロをめざしているという。そこが大きく違っていますね。
高校の部活の時もみんながんばってくれるんだけれども、
演劇が好きっていうよりも、クラブだから頑張るって感じですよね。
大学の人たちは僕らで集まっている集団だからがんばるっていうんじゃなくて、役者としてがんばる。美術として、どういう美術を作っていきたいか。
照明として、どういうプランを考えるかとかいうのが先行してやるので、
どっちがいいという是非は置いておいて、違いがありますね。
- 真栄田
- この時(第6回)の近畿大会って変な人多くなかった?
- 前川
- そうね、そうね!確かにヘンだった、おかしかった!
- 真栄田
- 多かった。
- 梅野
- その時は、今度、前川さんと一緒に卒制をする
蜂巢さんが京都代表で、僕のところが兵庫代表で、
大阪が前川さんたちのところでしたよね。
- 前川
- そうね、ちょっとクセのある学校が揃った…
蜂巢のところも、彼女が脚本を書いて…。
- 梅野
- あそこも衝撃的なところだったね。
- 真栄田
- 衝撃的だったな。芝居は観てないけれど楽屋にいて、
ゲネが映っている舞台モニターを思わず消してしまったもん。
- 前川
- えー!
- 真栄田
- あまりに衝撃的で見てしまうので、自分たちのダメ出しができなくって
- 前川
- これを高校生がやってるの!!っていうね。
- 梅野
- あんまりにもビックリみたいな。
- 真栄田
- 棺を開けたら肉体が転げ落ちてきたとか。
- 梅野
- そうそう。なんかね特殊やったね。
- ―そういった個性的な高校演劇をやってきた人たちが、一つの大学に集まったというのも面白いですね。
最後に高校演劇をめざす後輩たちに一言!
- 真栄田
- 舞台の前日、夜更かしはしないように。
- 梅野
- 当日は僕みたいにテンパラないようにしてくださいね。
- 前川
- 周りの人への感謝を忘れないでください。
- ありがとうございました。
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