鼓童 ワン・アース・ツアー2015〜永遠

永遠について

「ワン・アース・ツアー永遠」について出演者のお一人、 前田剛史さんにお話を伺いました。


Photo: Takashi Okamoto

― 今回の作品「永遠」のテーマを初めて聞いた時、どんな印象を受けましたか?

改めて永遠という言葉の意味を考えた時、現実には存在しないものなんだなと思いました。 今まで普通に「永遠」という言葉を口に出した事はありましたが、改めて考えるとその意味の深さを知りました。 存在しないものだから、憧れ、手に入れたいと願う。人間が生まれてから死へ向かうという定めがあるからこそ「永遠」を望む。人間が日々命を燃やしながら生きているからこそ生まれた言葉だと感じました。

― 坂東玉三郎さんの演出のワン・アース・ツアー「伝説」「神秘」「永遠」3作品を通してみて グループとして、また個人としての印象はいかがですか。変ったなと思うところ、変らないなと思うところなどありますか?

メンバー全体の視野が広がった様に思います。 やはり鼓童が長年培ってきた舞台構成や演奏技術、半纏の衣裳など誇れるものは沢山ありましたが、やはり固定概念というものが出来てそこから出られなくなってしまったのも事実で、「これじゃないとダメだ」という考えがどうしてもありました。 しかし、この3作品を経て、とてもメンバーが柔軟になり、前向きに新しい表現へ挑戦しています。もちろん「鼓童」である以上、太鼓に向かう姿勢、演奏技術などは変わらず大切にしていきたいです。

― 「永遠」では、前田さんも沢山の曲を書いておられますが、作るのに一番、苦労した曲は? どんなところに苦労されましたか?

どの曲も一筋縄では出来ませんでしたが、中でも「カタライ」は大変でした。 演出が坂東玉三郎さんということもあり、楽曲に要求される要素が音楽的なこと以外に物語性でもあったり、キャラクターの設定のようなものがあったりと、私達音楽を主にやっている人間には考えもつかない切り口で話が進んでいくので、その点を自分で解釈して曲を形にしていくのが特にこの曲では大変でした。

― 出演している中で、一番面白いな! と思うのは、どのシーンですか?

場面展開に様々な舞台道具を使っていますので、その点は楽しめると思います。 本編の構成を「一日の時間の移ろい」 というものをテーマにしています。 色々な展開があって一番という場面を絞れません!

― 反対に、これは難しい…神経を使うな、と思うシーンはありますか?

個人的には自分の曲「カタライ」です。 「カタライ」に限らずなのですが、玉三郎さんの演出、楽器は細部にいたるまで細かい音の強弱やリズム、動きが決められているので、全編通して気の緩まるタイミングがありません。

― 「永遠」公演は、これで2回目のツアーになりますね。 前回の経験を経て、今ツアーでの目標などありますか? また、自分自身で「ここを頑張る!」などという目標はありますか?

やはり初演よりも、その次。さらにまた次。と、舞台の内容が自分達の身体に馴染めば馴染む程、公演そのものがどんどん良くなっていくと思いますので、今回は前回に増して、この「永遠」というプログラムを自分の身体に叩き込んで挑みたいと思います。 いつもなのですが、メンバーそれぞれが頭で考えながらではなく、身体に入った状態で演奏すると阿吽の呼吸の様なものができてきます。とにかく精一杯舞台を務めます。